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イギリス型<豊かさ>の真実 [★世界各国事情]


イギリス型<豊かさ>の真実 (講談社現代新書)

イギリス型<豊かさ>の真実 (講談社現代新書)

  • 作者: 林 信吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/01/16
  • メディア: 新書



自分の国を良くするためには、やはり世界の他の国々の事情を研究し、良い物は取り入れ、悪い物は他山の石として参考にさせてもらえればよいですね。
大統領制導入に失敗したイスラエルなども参考にできるでしょう。
で、この本はイギリスの医療、税金、教育制度、及び人々の暮らしぶりを知るということで参考にさせてもらいました。

驚いたのは、イギリスでは医療費が無料ということです。全然知りませんでした。
(昔、「The liberty」に載ったようだが憶えていない・・・)
NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)という巨大な公的機関が医療費無料で、国民にサービスを行っているそうです。
一見、大変すばらしいことの様に思いましたが、読み進んでいくうちに、どうも、そうとばかりも言えないな、と思いました。

まず、薬等は有料。
歯科医療は一部有料。
治療費のあり方からNHSのサービスから手を引いてしまっている歯科医も多いとのこと。
実はNHS以外でも高額の費用で、プライベート医療も受けられる。しかし、歯科医療などは安いポーランドやハンガリーに出かけて治療を受けるツアーもあるそうです。
緊急以外は順番待ち。
まずは「かかりつけ医」に行かなくてはいけないらしく、専門医はその紹介以降のようです。
経済原理が働かないため、病院の士気も今ひとつの様です。
サービスも低下気味の様。
ま、財源は17.5%の消費税だそうです。ヨーロッパは20くらい当たり前ですが。

この医療費無料の制度は、第二次大戦以降続いているようですが、当時は今に比べたら大して医療にお金がかからなかったから国の負担もそう大きくなかったのですが、医療費増大傾向の現代において、かなり厳しい状況になっているようですが、如何せん無料の味を占めてしまった国民に対して、改革することは難しいようです。あのサッチャーさんでさえも、どうにもこうにも改革できなかったようです。
ほとんど社会主義と資本主義が拮抗していますな。

自分が思うに、長期的に見て、NHSは破綻する可能性が高いと推測します。NHSは戦時中の緊急措置では機能すると思いますが、平時においては、その業界の衰退を意味しているのではないでしょうか。
日本も流されていくと、高福祉、高負担社会となり国力がどんどん低下していくと思います。
基本的に人生は、Self Help の精神でやっていかないとイカンと思います。

ともあれ、日本の未来の政治、経済を考えるために参考になる本です。


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