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ドイツ留学記 下 [★世界各国事情]


ドイツ留学記 下    講談社現代新書 596

ドイツ留学記 下  講談社現代新書 596

  • 作者: 渡部 昇一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1980/11
  • メディア: 新書



かなり昔の体験記です。
渡部昇一さんがドイツに留学していたのは、WWⅡ後、10年くらいしてでしょうか。
当時のドイツのカトリックとエヴァンゲリッシェ(新教)のことがいろいろ書かれています。
ナチス没後、10年以上経っているのですが、本当にこの国がヨーロッパ中を軍事力で脅かせたのかと思うくらい宗教的な雰囲気があったように書かれています。
ただ、カトリックとエヴァンゲリッシェの垣根は、当時もかなりのものがあります。

しかし、この本を読んでいて、必ずしもカトリックの考えは古くないのではないか? と思ったりもしました。どちらかと言ったら、カトリックの方が信仰を大切にして、イエスの教えを守ろうと努力している。
エヴァンゲリッシェの方は、そういった面がかなり薄れて、この世的な発展・繁栄を重視している。
まあ、そこいら辺は、Max Weberが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』でも研究しているところですが。
確かに カトリックの教えのみでは経済発展するには無理がある。お金持ちや富を積極的に肯定してはいないでしょうから。

あと、根本的な問題として、なぜこのような宗教的な国に、ナチスの様な政権ができてしまったのか?
保守側の共産党の勃興への危機感。
失業問題等解決のため経済再建重視。
多数議席を取るや否やの電撃的政権掌握。
政権取得後のカトリック弾圧。
秘密警察等による力による支配。
などありましょうが、あっという間に議会が掌握されてしまった電撃的政権掌握にかなり問題ありでしょう。
政教分離、必ずしも是ではありません。
カトリック勢力が政治に介入し、断固としてナチスの政権掌握に反対するという手もあったのでは?

正しい宗教勢力が政治に介入することは良い事ですし、逆に、取り返しのつかないことにならないためにもやらなくてはいけないことです。



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