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民主主義という錯覚 [本(政治全般)]


民主主義という錯覚

民主主義という錯覚

  • 作者: 薬師院 仁志
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2008/03/19
  • メディア: 単行本



目次
第1章 欧米の民主主義
第2章 日本の民主主義:誤解と迷走の歴史
第3章 何のための民主主義なのか

「民主主義とは何か?」 と問われて、すぐさま適切な返答のできる人はどのくらい居るだろうか?
確かに、何をもって民主主義と言うのか、その定義は定かではない。
ルソーによれば、純粋な民主主義とは、直接民主主義だけで、現代の選挙による間接民主主義は、貴族政になるとのことだ。
その様な意味で言えば、民主主義の時代は、古代のギリシャのアテナイにぽつっとあっただけという事になる。
ただ、その民主主義の意味を変化させてしまったのが、1830年代のアメリカ合衆国のジャクソン政権からだと言う。
その時代から、民主主義=選挙権の拡大 という意味に成り代わってしまったらしい。
まあ、はっきり言ってこの本は、「民主主義」の言葉の定義にけっこう力を注いでいる。

ということで、本の内容はともかくとして、自分なりにいろいろ考えると、民主主義とは、「大衆が主体的に政治を行う制度」とでも言えようか。
そして、民主主義を支える支柱は、前回も同じ様なことを書いたけれども、一人一人の「信仰心」に置きたい。何故なら政治を行う人々は、どうしても徳高く、自分の欲得よりも人々の幸福を率先して考えるような神近き人でないと全体としてうまくいかないからだ。
王政とか、少数の人々の貴族政治だったら、その治世者の徳が大部分、社会の発展、安定につながる。但し、民主政の場合、直接・間接の差はあれ、大衆が政治を行うことになる。その大衆が、徳を求めないで、自分の利益のみを主張すると、完全に衆愚政治になってしまう。
ヒトラーは選挙によって大衆に選ばれた。完全に議会制民主主義の範疇の出来事である。革命によってヒトラー政権ができたわけでも何でもない。不平不満の民主主義は、必ず破綻することになっているのだ。

フランス革命も、結構美化されていることがあるけれど、民主化運動というよりも、大衆の不平不満が爆発した結果と言えるかもしれない。実際、何十万人もの人が死んでおり、革命以後も、無政府状態が長く続いていて、治安が維持できなかった。実際、フランス革命は、反宗教的な革命であった。

結論として、民主主義は人々の正しい信仰心、【緩やかに言えば向上心】 があってこそ栄える制度である、と言いたい。逆に、無神論、【これも緩やかに言えば道徳の不在】の民主主義は、不平不満による混乱、殺戮、暴動、独裁者の圧政、こういった過程を経ます。これは、過去の歴史を見ればわかることであります。

当然、現代の欧米諸国や日本も、今後、どうするか、まさに正念場を迎えています。それを選択していくのは、一人一人です。衆愚政への流れは、とても強いので、本当に多数決の理論だけでは負けてしまいます。

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