SSブログ

日本の戦争力 (新潮文庫) [本(軍事)]


日本の戦争力 (新潮文庫)

日本の戦争力 (新潮文庫)

  • 作者: 小川 和久
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/28
  • メディア: 文庫



第1章 自衛隊の「戦争力」―これが「日本軍」の真実の姿だ!!
第2章 アメリカへの「戦争力」=抜群の交渉力―アメリカの世界戦略を支える日本
第3章 テロへの「戦争力」―日本は平和構築のリーダーたりうるか
第4章 イラク復興支援に見る日本の「戦争力」―世界の常識、日本の非常識
第5章 北朝鮮への「戦争力」―真の脅威とは?有効な抑止システムとは?
第6章 日本国憲法の「戦争力」―平和国家をどうつくるか?

2005年12月に出た昔の本をリニューアルしたものです。
かなり出回った本だったが立ち読み程度で、ちゃんと読んでなかった。
もうちょっと具体的なものかな、と思っていたのだが、そうでもなかった。
自衛隊にパワー・プロジェクション能力がほとんど無い事は、今となっては自明の事。
海上自衛隊の対潜能力、掃海能力に関しては世界のトップレベルだが、やはり全体的に軍隊としては非常にバランスは悪い。100%、米軍が手を抜かないで日本を防衛してくれる事を前提に存在する軍隊だから、その様な、米軍補完軍の様になってしまっているのは仕方が無いのだが、いつまでもそれでは駄目なのであって、最終的には一人立ちできないと、本当のリーダー国家にはなれないだろう。
何とかしなくてはいけないところだ。

この本は、敵として想定しているのが、北朝鮮とテロなので、中国に対する視点は抜けています。
だからまあ現時点では、参考書籍の一つですかね。

基本的に、今の自衛隊は戦争のレベルまでいくと厳しいだろう。
精々、紛争処理能力だろうな。

それは当然の事であって、防御しか考えない軍隊に戦争を継続する力はありません。
ただ、著者の小川和久さんの言葉に従って、日本はパワー・プロジェクション能力が無いから平和主義で安全だ、という事を世界にアピールするのはどうかと思いますね。
安心されるというよりも、中国や北朝鮮にはなめられるし、逆に中国に抑圧されている国々にはがっかりさせるだけでないかね。

独立国家として国を防衛するのは当然として、更に、事が起こったら、勝つ事まで想定しないと中途半端ですよ。
万が一、他国が攻めて来たら防御し、かつ、勝利するための方法まで考えなくては現実的ではありません。
勝つか、最低限引き分けまでが許せるところであって、負けてしまえば当然、日本は占領させるのです。

もう憲法解釈で国の自衛権が認められるなら、防衛戦をして、最後は敵の軍事基地や首都、生産能力、輸送能力の破壊まで行わないと勝つ事はできないのです。
だから今の日本に戦争力があるかと問われたら、「緒戦防衛能力だけはある」とだけ答えるのが正直であって、数ヶ月、数年、戦争を継続して勝つ能力は無い、と言わざるを得ません。

第二次大戦、イギリスはドイツ空軍に爆撃されましたが、レーダー網や新型戦闘機スピット・ファイアが配備されていた事もあり、何とかドイツ空軍を撃退しました。
ただ、その後は米軍と共に反攻に出て、逆にドイツを重爆撃機とかで爆撃し、ミサイル基地も破壊しています。
そして、地上軍はノルマンディから上陸しベルリンを陥落させた。

そこまでやったのですが基本的にイギリスとしては防衛戦でしょう。
ミサイル基地は破壊しないとロンドンにV1、V2ミサイルは飛んで来ますし、軍事工場を破壊しないと、また盛り返されて、いつまで経っても平和は来ません。

要するに、自衛のための戦いと言えども、パワー・プロジェクション能力が無いと勝てないのです。
それでよいのか? という事ですね。

------------------------

基本的に国家の戦略を考える上で、何となく、とか、適当に、とかでは駄目でしょう。
核ミサイルの脅威があるならば、それに理論上も対抗できる処置を取る必要があるし、勝てるところまでの作戦は当然、必要です。
日米同盟にしても100%有効である事を前提にしては駄目であって、万が一の事も考えて戦略を立てないと駄目に決まってます。

要するに、自衛隊もパワー・プロジェクション能力をつけないと日本を防衛する事が出来ないで、最終的に負ける
可能性が高い、という事です。
局所的な紛争程度だと勝てるかもしれないけど、本格的は戦争だと今のレベルでは駄目です。
北朝鮮にも勝てません。
首都や軍事施設、生産工場を破壊できないと勝てないのです。
ま、日露戦争みたいに局所的に勝って、あとは首都で革命かクーデターを起こさせるという作戦しか今のところないのではないかな。

共通テーマ: