SSブログ

戦前日本の安全保障 [本(日本の政治)]


戦前日本の安全保障 (講談社現代新書)

戦前日本の安全保障 (講談社現代新書)

  • 作者: 川田 稔
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/01/18
  • メディア: 新書



第1章 第一次世界大戦期山県有朋の構想ー帝国日本の安全保障
(参戦と山県の対中国政策論/対華二一ヵ条要求問題/大隈内閣の改造と排袁政策批判/日露同名と山県の世界戦略/ロシア革命の衝撃と援段政策/寺内内閣総辞職と政党内閣の容認)/
第2章 第一次世界大戦期原敬の構想ー国際協調の安全保障
(原の外交戦略/対華二一ヵ条要求と原敬/第四次日露協約と初期援段政策へのスタンス/ロシア革命後の中国政策とシベリア出兵問題/原政友会内閣の成立と外交政策の転換/国際連盟と原の期待)/
第3章 昭和初期浜口雄幸の構想ー集団的相互安全保障
(田中内閣の対中国政策と浜口の対応/東アジアをめぐる国際環境と浜口の基本姿勢/浜口民政党内閣の成立とその内外政策/国際連盟重視とロンドン海軍軍縮条約の締結/平和維持に関する多層的多重的条約網の形成/国家総力戦の時代における現実主義)/
第4章 昭和初期永田鉄山の構想ー次期大戦への安全保障
(陸軍一夕会の形成と永田/国家総動員論と次期大戦認識/資源自給と対中国戦略/満州事変と政党政治の否定/陸軍派閥対立と『国防の本義』/皇道派排除と華北分離工作)


山県有朋、原敬、浜口雄幸、永田鉄山といった人物の戦前の安全保障政策について述べている。
現代の日米同盟に守られた日本と比較して、非常に外交政策、安全保障政策は難しいものであった。
まあただ、外交政策、安全保障政策は日本のみが難しく思っているわけではなく、どの国にとっても難しい事ではあろう。

政治の役割のなかで、他国との外交、同盟政策は極めて大事なものです。
それは当然で、失敗すれば最悪、国が滅びてしまう可能性もあります。
こればっかりは、先見性を持った、有能な政治家が、音頭を取ってリードしていくしかないでしょう。
戦後でいえば、岸信介が反対派を押し切って日米安全保障条約を維持した事が大変重要であった。
もちろん、反対派に押されて安保を破棄する可能性もあったのでしょうが、万が一そうなっていたら、今の日本は無かった事だろう。

だから、必ずしも民主的に皆の意見を聴いて多数決等の判断を下すというよりかは、たとえ少数派と言えども、未来の幸福を考えて、「やらねばならない事はやらねばならない」と思いますね。

戦前で言えば、やはり日英同盟失効とか国際連盟脱退が日本にとって大きな分岐点になってしまったと思う。
何とか英米側に、イソギンチャクのようにくっついている事が大事であった。

ただ、正義の観点から見れば難しいところもある。
結局、日本が太平洋戦争を起こした事により、最終的に世界から植民地が無くなった事も大きいからね。
単純に、イソギンチャクやってるだけだったら、日本は戦争を起こさなかったかもしれないけれども、その代り、まだアジアやアフリカの多くは、欧米の植民地のままだったかもしれない。
これは難しい判断だ!

それと、山県有朋さんがロシアと同盟を組もうとしていたところ、ロシア革命によりソビエト連邦になってしまって、結局、同盟が組めず、日本が孤立してしまったのも痛いですな。


共通テーマ: