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「TPPは国を滅ぼす」の極論 [★本(経済)]


TPPは国を滅ぼす (宝島社新書)

TPPは国を滅ぼす (宝島社新書)

  • 作者: 小倉 正行
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2011/05/09
  • メディア: 新書



第1章 TPPとアメリカの思惑
第2章 推進派と反対派の暗闘6カ月
第3章 犠牲にされ続けた日本の農業
第4章 TPPで日本はこうなる
第5章 TPPと日本農業の両立はあり得ない
第6章 国会でどのように議論されたのか

TPPとは?
Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement
環太平洋戦略的経済連携協定の略称。
シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が参加する自由貿易協定で、2006年5月に発効した。
TPPは、加盟国の間で取引される品目に対して関税を撤廃原則的に100パーセント撤廃しようという枠組みである。工業製品や農産品、金融サービスなどをはじめ、全品目について、2015年をめどに関税全廃を実現するべく協議が行われている。
2010年11月の時点で、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5ヵ国がTPPへの参加を表明し、次いでコロンビアやカナダも参加の意向を表明している。

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今回読んだ本は、完全にTPP反対派の人の本です。
今、米には778%の高率な関税がかけられていますが、米を自由化したら日本の米の9割が輸入米になると言っています。
そして、北海道以外の酪農はほぼ全滅。
水産業にも甚大な被害。
食料自給率は、40%から13%になると試算している。
農林水産省とか北海道庁の試算らしいが。
あと、食品添加物が増加し、医療の自由化により、必要な医療も受けられない人も出てくるとか・・・。

ま、はっきり言って、これでもか、これでもか、といった具合にTPPに加入したら地獄の様相が展開されるような事ばかりが書かれています。
これでは全く一方的で議論にはならんでしょうね。
マイナス面のみ主張して、プラス面は全く無いのでしょうか?

まあ一生懸命TPP加入で日本の農業等の壊滅を説明しているのですが、逆に言えば、いったい日本人は、いかに食料に高いお金を払わされているか、という事にもなってしまうのですよね。
食料自給率を上げるために、いったいどのくらいのコストがかかるのか?
こういった事も当然、検討していかなくてはいけない事であって、何が何でも日本で作らなくてはいけない、と、決め付ける必要も無いと思われます。

オーストラリアの畑とか、牧場の一部を、円高メリットで買って、そこで大量生産して日本に持って来る、とかは、全く想定外なのでしょうか?
どうも、日本の農業は、ちと、保護され過ぎているのではないかね。
例えば、コンピューター業界なんてのも厳しいですよ。
過労死とかもありますからねえ。
で、お客には安くぶっ叩かれて、高品質のものを、あまりコストをかけないで作らにゃイカンので、そりゃ厳しいでっせ。
家電とかでも、サムソンが安いとなれば、SONYやPanasonic でなく、そちらを選ばれてしまいますよね。

それと、どうもこの本を読んでいて、なんか逆に、日本の農業に対する評価が低すぎる感じがしますよね。
日本の米を日本人がそう簡単に捨て去るとは思えないのだが。
日本の米の9割が滅びるなんて本気に試算しているのなら、逆に日本の米を馬鹿にし過ぎているように思えますよ。

ま、ただ、総合的に言って、やはり、これからの時代、何十年も同じ調子で仕事が続けられる社会か、というと、そうではないと思うのですよね。場合によっては、産業全体が入れ替わってしまう事もあり得るのです。
今のままでは日本の農業は、高品質ではあるが、維持するのに非常に高いコストが必要という事で、鎖国政策以外に生き残る方法は全く無い、という事になってしまいます。
新しい農業に進化していかねばならんと思いますね。

ま、国家の方針としては、自由化が基本であるが、その反面、新産業育成に関して、失業の恐怖が無い役所や公務員が、自分の事の様に思って民間に協力していかねばならんと思う。


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