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メノン [ギリシャ哲学]


メノン (岩波文庫)

メノン (岩波文庫)

  • 作者: プラトン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1994/10/17
  • メディア: 文庫



副題は「徳について」。
アテナイを訪れていたメノンという20歳くらいの若者が70歳近いソクラテスに、「徳は人に教えられるものか」と尋ねるところから話は始まります。
メノンは、ゴルギアスというソフィストの影響を受けていて、どちらかと言うと、表面的な徳、(人に称賛されるようなもの)を求めていたところがあります。
ただそれを、そもそも「徳とは何か?」といった徳の定義から始まって、
一つ一つ、メノンの表向きの考えをソクラテスが論破していくものです。

最後は、
想起説により、もともと人間が本来持っていた良きものを想起する、というところに行きつきます。
想起説は、ソクラテス、プラトンの考えの、かなり根本をなしている考えで、基本的には仏法真理の根幹をなしている考えでもあります。
この本を、前提を含めて言うとするならば、

もともと人間の魂は永遠で、この世とあの世を転生輪廻している。
人間の魂は、根源の神から分かれたもので、本来、神と同質のものを持っている
ソクラテスの役目(本来の哲学の役目?)は、人に知識や知恵を与えるのではなくて、人々の神と同質のものを引き出す(産婆術)
知は、人から人へ伝えられるが、徳に関しては自ら引き出そうとしないと難しい

というあたりになりましょうか。
ソクラテスもプラトンと、今は哲学者という事になっていますが、基本、宗教家に近いです。
特定の~神を主宰神とする、
という事になっていないので哲学というジャンルになっているだけの事で、基本路線は、永遠の仏法真理を語っているものであります。

まあ、短い本ですので、この手の本は学生時代に"必ず"読むべきでしょう。
今の日本の学校では宗教教育ができないというならば、こうした本や、他のプラトンの本などで教育する事も可能だと思います。

おそらく戦前の日本などは、カント哲学が流行った時代があったと思いますが、
今の日本に、ソクラテス、プラトンを復活させてもよいのではないでしょうか。
まあそうしたところが抜けているから、例えば香港の問題、台湾の問題でも、日本の政治家やマスコミは答えが出せない、勇気が出ない、となっているように思う。

毛沢東やマルクスの無神論の教えが、エセ科学主義と混同して、まだまだ日本の根底を流れているように感じます。

うーむ、この本を、勝手に「全日本学生推薦図書」に認定したいと思います。
岩波とプラトン全集以外は、市販されているのは以下くらいか。
翻訳者が異なると、ニュアンスが違うかも。

メノン―徳(アレテー)について (光文社古典新訳文庫)

メノン―徳(アレテー)について (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: プラトン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/02/14
  • メディア: 文庫



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